2019年12月から2020年3月までシンガポールと東京を巡回する本展は,アジアにおけるメディア・アートをはじめとした様々な表現を通じ,近代化と科学技術発展の延長線上に想像されてきた,ある種画一的ともいえる「未来」のイメージを,複数の可能性に満ちたものとして捉え直そうとする試みです.アーティストたちは,いまや共通のツールやプラットフォームとなったテクノロジーを用い,神話や儀式,人間と機械の関係性を改めて探求しています.近代化の過程に伴うテクノロジーの受容経緯や,形態が異なるアジアの中で繰り広げられるアーティストの実践には,近代的テクノロジーに対する工夫に満ちた豊かな感覚と創造力を見ることができるでしょう.
本展は,日本と東南アジア各国のアーティストによる,デジタル・テクノロジーを用いた,メディア・アートをはじめとした多様な表現を紹介する展覧会です.アーティストによるテクノロジーへの多様な視点を紹介することによって,決してリニアではない多様な「未来」への,より開かれた可能性に対する想像力を喚起することを目指します.